~広大な自然だからこそ、気をつけたいことがあります~
釣り人にとって、北海道の渓流や湖はまさに夢のフィールド。
大自然に抱かれながら、大型のニジマスやオショロコマと出会える釣行は、多くの釣り人にとって憧れることでしょう。
しかし、その夢を現実にする前に、北海道ならではの注意点やルールをきちんと理解しておくことがとても大切です。
知らずに釣りをすると思わぬトラブルや危険に巻き込まれることもあります。
今回は「これから北海道で釣りをしてみたい」と考えている釣り人に向けて、知っておきたいマナー・ルール・危険生物などの注意点をまとめました。
✅ 1. 「禁漁期間」は地域によって違う
北海道は広大で、同じ北海道内でも地域によって気温や水温、魚の繁殖時期が異なるため同じ魚種でも地域によって禁漁期間が異なります。
例えばヤマメの場合、本州では秋から春にかけて禁漁になることが多いと思いますが、北海道では地域ごとにルールが異なり、以下のような例があります:
- 道央や道南では4月1日から5月31日まで、道東や道北では5月1日から6月30日までが禁漁
- さけ・ます(サクラマス、カラフトマス、紅鱒、銀ます、ますのすけ)はすべての内水面で禁漁
- 通年禁漁の河川もあり
❗ 知らずに釣ってしまっても違法
「釣ってもすぐリリースすれば大丈夫」と思う方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。釣りをする行為そのものが「採捕」と見なされ、禁漁期間中に該当魚種を釣った場合、
リリースしても違法行為となります。
👉 北海道庁のPDF資料:キャッチ&リリースは採捕になるの?(北海道庁 PDF)
🚔️罰則について
違反した場合、最大で6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性があります。たとえ「知らなかった」としても免責にはなりません。初めての場所では、事前に漁協や自治体のルールを確認することが非常に大切です。
知らずに釣ってしまうと違法行為になります。
出発前に各地域の漁協や自治体のサイト、掲示板、看板をしっかり確認しましょう。
👉️北海道の公式情報: フィッシングのルールとマナー (漁業管理課)
🚫 2. 「通年禁漁」の川も存在する
北海道には、そもそも年間を通して禁漁になっている河川もあります。これは魚の保護、または水源保全などの目的で指定されているもので、立ち入り自体が禁止されている場合もあります。
例えば以下のような場所は要注意:
- 環境保護区域
- 漁協が「保護区」として定めた水域
- 市街地に近い特定河川
こうした情報は、漁協のホームページに掲載されていると思います。
不安なときは、近隣の人や釣具店で聞いておくのがおすすめです。宿の従業員の方も結構知っていたりしますよ。
🐻 3. ヒグマは「リアルな脅威」

本州ではなかなか実感がわかないかもしれませんが、北海道の山林・渓流では、ヒグマの存在は現実的なリスクです。
私の地元・札幌でも、市内の公園にヒグマが出没して、その公園が一時封鎖されることがあります。
札幌駅からそう離れていない場所でも出没するくらいなので、山では当然遭遇のリスクは高まります。
渓流や山道はクマの通り道と重なることが多く、フンや足跡を見かけることも多々あります。
クマ対策の基本:
- 単独行動を避ける(特に朝夕)
- クマ鈴やラジオを常に鳴らす
- フンや爪痕、足跡を見つけたら引き返す
- 食べ物は持ち込まない
- ゴミは絶対に放置しない
- 事前情報の確認
特に釣りに集中していると、音を出すのを忘れがち。
「見えないから大丈夫」ではなく、“そこにいるかもしれない”という前提で行動することが重要です。
また、事前の情報収集も欠かせません。市区町村の公式サイトやニュース、地元住民や宿泊施設スタッフからの情報など、信頼性の高い複数の情報源を活用することで、より正確な状況把握が可能になります。「ひぐまっぷ」などのサービスも便利ですが、あくまで参考情報であることを忘れず、過信せずに総合的な判断を心がけましょう。
詳しくは以下の記事もご覧ください:
👉️ ひぐまっぷの有用性と落とし穴
🧫 4. エキノコックス:知らないうちに感染する寄生虫の脅威

北海道には、本州にはあまり見られない感染症「エキノコックス」が存在します。
これはキツネや犬などを宿主とする寄生虫で、人間にも感染し、肝臓などの臓器を破壊する危険な病気です。
感染経路:
- キツネのフンが混ざった水を誤って飲む
- キツネが歩いた場所の土や草に触れた手で飲食する
予防策:
- 渓流の水は絶対にそのまま飲まない
- 植物や地面に触れた手で物を食べない
- 釣りやキャンプ後は石けんでしっかり手洗い
症状が出るまで何年もかかるため、感染しても気づきにくいのが特徴。
ちなみに、命に関わります。
北海道の水や自然に触れるときは、こうした寄生虫のリスクも頭に入れておきましょう。
👉 北海道の公式情報:エキノコックス症について(北海道庁公式サイト)
ちなみに、私は大学進学を機に北海道から上京したのですが、大学ではエキノコックスの存在を知らない友人も多くいました。北海道では皆当たり前に知っているものなので、なんというかカルチャーショックでした笑
🦌 5. 野生動物との距離感:餌やりは絶対にNG
北海道では、シカ・キツネ・リス・野鳥などの野生動物を間近で見る機会も少なくありません。
ですが、どれほど可愛く見えても野生動物への餌やりは厳禁です。
餌やりがもたらす弊害:
- 人間に慣れてしまい、交通事故や駆除の対象になる
- 感染症(キツネのエキノコックスなど)が拡大する
- 餌を求めて人のキャンプ場や釣り場に出没する
世界自然遺産の知床では、野生動物に餌を与えると30万円の罰金という条例があるほど深刻な問題です。個人的にはもっと重い罰でもいいくらいに感じています。
👉 おすすめ動画:
<a href=”https://www.youtube.com/watch?v=FyKdy04Qkug” target=”_blank” rel=”noopener”>ヒグマと人の危険な距離(YouTube)</a>
🚗 6. 駐車トラブルを防ぐ:私有地や農道には要注意
広い道だからといって、どこでも停めていいわけではありません。
北海道では農道や牧草地など、一見公道に見えても私有地というケースが多いです。
おすすめの行動:
- 釣り場近くの人に「ここ停めても大丈夫ですか?」と聞く
- 釣具店で「入渓しやすい駐車スペース」を事前に相談
- 農機具の邪魔になるような停め方をしない
地元の方と会話を交わせば、「あっちの川のほうが今はいいよ」なんて釣果アップの情報を得られることも。
挨拶と確認は、トラブルを防ぐだけでなく良い釣行の入口にもなります。
💡 その他にも気をつけたい北海道釣行の心得
- 渓流でも日中の気温差が大きいので、防寒対策は万全に
- 蚊・ブヨ・アブ・マダニなど、虫対策をしっかりと
- 熊スプレーを持ち歩いている釣り人も多い
- ゴミは必ず持ち帰る(動物が誤飲する可能性も)
🧭 最後に:北海道の自然に敬意を払いながら、最高の釣り旅を
北海道の自然は、釣り人にとって魅力的で刺激的です。
ですが、そこは野生の世界。人間が中心ではない場所です。
ルールを守り、地元の方や自然に配慮して行動することで、
その場所はあなたにとって「また訪れたい釣り場」になるはずです。
自然との距離感を大切に。魚への敬意を忘れずに。
丁寧な釣り人であることを心がけて、北海道の大地で豊かな釣りを楽しみましょう。