ひぐまっぷの有用性と落とし穴

北海道フライフィッシング

北海道の自然を安全に楽しむために


はじめに

北海道で釣りや登山、キャンプを楽しむ際、近年多くの人が参考にしているのが「ひぐまっぷ(ヒグマ出没情報マップ)」です。出没情報が地図上に記されていて、とても便利なツールです。
ですが、ひぐまっぷを過信してはいけません。今回は、その有用性とともに、「落とし穴」とも言える注意点について紹介します。


ひぐまっぷとは何か?

ひぐまっぷ「直近3ヶ月のヒグマ出没マップ」 より

「ひぐまっぷ」とは、北海道内でのヒグマの出没情報を集め、地図上に表示するサービスです。
自治体や道が公開しており、日付・場所・目撃内容などが簡潔にまとめられています。

私自身もよく利用させてもらっており、事前に危険な地域を把握するのに非常に役立つツールです。

▶ 参考リンク
直近3ヶ月のヒグマ出没マップ

有用性①:危険地域の把握

ひぐまっぷを見ることで、以下のような情報が得られます。

  • 最新の出没日時と場所
  • 目撃の詳細(個体数、行動など)
  • 過去の出没傾向(同じ地域で繰り返し出没していないか)

これにより、「今そこに行くのが妥当かどうか」の判断材料になります。便利ですね!


有用性②:釣行・登山前のリスク評価

たとえば、前日にヒグマの目撃があった河川に釣行を計画していたら、ルート変更のきっかけになります。
また、登山道の分岐点ごとにリスクを比べ、慎重な行動選択が可能になります。


しかし――「落とし穴」もある

「ひぐまっぷを見たけど、出没情報がないから安心だ」と思っていませんか?
それは非常に危険な認識です。


落とし穴①:報告されていないだけかもしれない

ひぐまっぷの情報は人間が目撃し、自治体に報告した情報がもとになっています。
つまり、誰にも見られていないヒグマはマップには反映されません。

ヒグマを目撃しても、目撃者がその報告をしなかった場合も、当然ですが情報は反映されません。

出没情報が「ない」=ヒグマが「いない」ではない
これを肝に銘じましょう。


落とし穴②:情報の「遅延」と「抜け」

ヒグマの出没情報が、目撃の即日アップロードされるとは限りません。
さらに、登山者や釣り人が少ない場所では、そもそも目撃されません。


落とし穴③:時間の経過で状況は変わる

昨日の出没情報が「その場にまだいる」とは限りませんが、昨日いなかったからといって今日いない保証もありません
ヒグマは1日で数十キロ移動することもあり、広範囲を徘徊します。
「今現在」の状況を完全に予測することは不可能なのです。


結論:ひぐまっぷは「参考情報」にとどめる

ひぐまっぷは非常に便利ですが、あくまで補助的なツールです。
現地では以下のような備えが必須です:

  • 鈴など鳴り物の携行
  • 複数人での行動
  • 食べ物を持ち歩かない
  • 熊スプレーの携帯
  • 新しい足跡や糞、食痕の確認
  • 夜間や早朝は特に注意
  • 地元住民からの最新情報確認

ただし、上記の備えを徹底していても安全が保証されるわけではありません。
北海道の自然の中では、常にヒグマのリスクと隣合わせであるということを忘れてはいけません。

ヒグマとの遭遇を避けるために:具体的な行動指針を

ひぐまっぷ以外の情報収集

ヒグマの生息域に足を踏み入れる際は、事前の情報収集と基本的な行動ルールの徹底が不可欠です。たとえば、北海道庁が公表している「ヒグマ対策のガイドライン」では、出没の多い時間帯(早朝・夕方)を避けること濃霧や雨天時の行動を控えること、そして単独での山歩きは避けることなど、基本的な注意点が丁寧に整理されています。



北海道のヒグマ対策ガイドライン(北海道庁)

また、ヒグマの生息地として知られる知床では、知床財団が人とクマの共存を目指した具体的な対策を紹介しています。たとえば、クマ鈴や携帯ラジオで常に音を出しながら歩くことクマのフンや足跡などの痕跡を見たらすぐ引き返すこと、そして食べ物やゴミの適切な管理など、登山者や釣り人にも有用な内容が多く掲載されています。



ヒグマと共に生きるために(知床財団)

これらのガイドラインは、単なる「山での注意点」ではなく、命を守るための具体策として、行動前に必ず目を通しておくべき情報です。

おわりに

ひぐまっぷは非常に有用ですが、「ここは大丈夫」という保証にはなりません。

ヒグマはどこにでも現れる可能性があります。どれだけ準備しても、自然の中では絶対はありません。
だからこそ、常に最新の情報に注意を払いながらも、過信せず慎重な行動を心がけましょう。

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