クイルゴードン(Quill Gordon)を巻く

ドライフライ-dry flies-

フライフィッシングの世界には数多くの名作パターンが存在しますが、その中でも特に象徴的な存在とされるのが クイルゴードン(Quill Gordon) です。キャッツキル系ドライフライの祖ともいうべきこのフライは、100年以上の時を超えて今なお世界中のアングラーに愛され続けています。


クイルゴードンの歴史

クイルゴードンを考案したのは、アメリカ・キャッツキル地方でフライフィッシング文化を築き上げた セオドア・ゴードン(Theodore Gordon)
彼はイギリスのハルフォードらから影響を受けつつも、北米の川に適応したフライを生み出したことで「アメリカドライフライの父」と呼ばれています。

クイルゴードンは、イピオーラス・プルーラリス(Epeorus pleuralis) というヒラタカゲロウの仲間を模したイミテーションパターンです。ゴードンはこのフライを「ブルー・クイルゴードン」とも呼んでいたみたいです。初期型はロールドウイング仕様で、ボディにはゴールドワイヤによるリビングが施されていたことが知られています。

このフライが広く知られるようになると、いつしかイミテートの対象昆虫であるイピオーラス・プルーラリスそのものが「クイルゴードン」と呼ばれるようになった、という逸話も残されています。それほどまでに釣り人にとって象徴的な存在だったのでしょうね。これって凄くないですか?


クイルゴードンとはどんなフライか

クイルゴードンは、クラシックなキャッツキルスタイルのドライフライであり、そのシルエットは非常にオーソドックス。羽化直後のカゲロウをイミテートするため、水面にしっかり浮きながらも繊細な雰囲気を持ちます。
一見シンプルながら、クラシックな美しさを持つフライであり、今でもタイイング教材やドライフライの基本パターンとして紹介されることが多いです。

ただし、現代的なパラシュートパターンやCDCパターンと比べると、視認性は決して高いとは言えません。それでも、伝統的なスタンダードパターンならではの魅力があり、魚にとっては自然に映ると思います。釣り人にとっては多少見づらくても、スレた魚に効くケースがあるため、フライボックスに入れておく価値は十分にあります。
個人的には、さほど視認性の悪さは気にならないのですが、やはり派手なポストを持つパラシュートパターンと比較すると…といったところですかね。


タイイングについて

👉️クイルゴードンのタイイング動画はこちら


個人的には、クイルゴードンとロイヤルコーチマンを巻くことができれば、その他のキャッツキル系ドライフライも大体巻けるのではないかと思っています。
タイイング工程を大まかに分けると
・テイル材の巻き留め
・ウイングの立ち上げ
・ストリップト・ピーコックの巻き付け
・ハックリング
これら4工程になります。
このクイルゴードンというパターンに関しては特に下地作りが大切だと考えていますが、ここらへんは動画内でお話しているので割愛します。
ちなみにストリップト・ピーコック作成方法についてはこちらの動画をご参照ください。
👉️https://youtu.be/xM-KneS5USo

ちなみに僕は、ウイング無しでタイイングすることも多いです。
だって…ちょっとでもラクしたいじゃないですか。
でも…ウイングはあったほうが絶対かっこいいです。

おすすめの使用時期・場面

クイルゴードンが最も威力を発揮するのは 春先のメイフライハッチシーズン!なんて教科書的なことを言いたいところですが、実際のところメイフライの姿さえ見かければ、僕はいつでも使います。
フックサイズは#12や#14のものを使うことが多いです。

また、現代フライのように「視認性」や「扱いやすさ」ばかりに頼るのではなく、クラシックなシルエットで挑みたい時や、魚の反応がイマイチだななんて感じた時におすすめです。
例えば、パラシュートパターンに出ないときにクイルゴードンを投入すると、意外なほどあっさり魚が出ることもあります。ローテーションの一部として試してみると良いかもしれません。


まとめ

クイルゴードンは、単なるクラシックフライではなく、ドライフライの歴史を切り開いた象徴的なパターンです。セオドア・ゴードンが遺したそのフライは、現代でも十分通用する力を持っています。というか、使い勝手の良いパラシュートパターンにスレた魚を相手にするのであれば、こういったスタンダードパターンを積極的に使用してみるのはアリだと思います。

視認性や実用性だけを重視するのではなく、歴史を感じながら川に立つ——そんな時間を楽しませてくれるのが、クイルゴードンというフライパターンの最大の魅力なのかもしれません。

とまあアレコレ深く考えずに…
僕はただ単に好きだから使い続けます(笑)

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